婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
「リューディアは、兄上のことが好きなの?」

「え?」

 突拍子もないエメレンスからの質問に、リューディアは正直にわからないと答えた。

「わたくしとモーゼフさまの結婚は、決められたことですから……」

「でも。どうせなら好きな人と結婚したいって思わない?」

「え?」
 先ほどから、エメレンスの言っている言葉の意味が理解できない。
「好きな人と結婚、ですか?」

「そうだよ。君の両親は、好き合って結婚したって聞いている。ボクの両親も、出会ったきかっけは、その、政治的なものだったって聞いているけど。でも、二人は今では結婚して良かったって言ってる。リューディアは、兄上と結婚して、そういった気持ちになれる?」

「わたくしは……。モーゼフさまに嫌われておりますから……。あっ」
 と、何かを思い出したかのようにリューディアの声が一際高くあがった。
「モーゼフさまに好かれる努力をしろと、レンさまはそうおっしゃっているわけですね?」

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