婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
 こうして、リンゼイ王国第一王子であるモーゼフと三大魔法公爵家の一つコンラット家のリューディアとの婚約は、正式に解消された。
 となれば、リューディアと結婚や婚約をしたい、させたいという輩は少なからずいるもので。これ以降、少々コンラット公爵の周辺は騒がしくなる。
 当のリューディアはというと、その騒がしさによって引きこもりに一層磨きがかかり、屋敷から出ても敷地内にある庭園まで、という状態に陥っていた。

 そんな中、リューディアは十八回目の誕生日を迎える。本来であれば、たくさんの関係者を呼んで盛大に催したいところではあったのだが、当の主役がそれを拒んだ。元々人前に出るのが苦手な娘、さらに今回の婚約解消。娘の気持ちを汲んだ両親は、身内だけでこっそりと彼女の誕生日を祝った。リューディアは大好きな両親と兄や義姉に祝ってもらい、それだけで満足だった。
 だが、その十八回目の誕生日に、家族以外から一つの贈り物が届く。送り主はもちろんエメレンス。嬉しそうに顔を綻ばせながら、プレゼントの包みを解いていくリューディア。
 このとき、リューディアをエメレンスと婚約させておけばよかったのではないか、とその贈り物を見た誰もがそう思ったらしいのだが、それを口にすることはしなかった。
 リューディアが開けた箱の中から出てきたのは、少しレンズが大き目の眼鏡。

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