婚約者には愛する人ができたようです。捨てられた私を救ってくれたのはこのメガネでした。
『十八回目のお誕生日おめでとう』
添えられたカードに書かれていた文章はそれだけ。それでもリューディアはこの眼鏡が意味するところをなんとなく感じ取った。レンズが大きくなり、顔を隠す部分が増えているのが何よりの証拠。自ら積極的に外に出るのはまだ怖いけれど、家族やエメレンスから誘われた時には、この眼鏡をかけて外に出ていこうと、そう前向きに思えるような効果をもたらしたのがこの眼鏡であったのだ。
エメレンスが贈ってくれる眼鏡には、いつも不思議な力が宿っているようにも感じる――。
その効果があったのか、この誕生日以降、レンズが大きな眼鏡をかけたリューディアの行動範囲が少しずつ広がっていくことに、コンラット公爵は喜んでいた。もちろん、彼女が一人で出かけるようなことはしない。たいていは、母親であるサフィーナが一緒。二人で観劇に行く、という話を聞いた公爵は、感激して目を潤ませてしまったくらいだった。
無理に娘を結婚させるのはやめようかな、とコンラット公爵が思い始めた矢先、長男のヘイデンがこんなことを言い出した。
「父上、ディアを魔導士団の方で働かせるつもりはないですか」
添えられたカードに書かれていた文章はそれだけ。それでもリューディアはこの眼鏡が意味するところをなんとなく感じ取った。レンズが大きくなり、顔を隠す部分が増えているのが何よりの証拠。自ら積極的に外に出るのはまだ怖いけれど、家族やエメレンスから誘われた時には、この眼鏡をかけて外に出ていこうと、そう前向きに思えるような効果をもたらしたのがこの眼鏡であったのだ。
エメレンスが贈ってくれる眼鏡には、いつも不思議な力が宿っているようにも感じる――。
その効果があったのか、この誕生日以降、レンズが大きな眼鏡をかけたリューディアの行動範囲が少しずつ広がっていくことに、コンラット公爵は喜んでいた。もちろん、彼女が一人で出かけるようなことはしない。たいていは、母親であるサフィーナが一緒。二人で観劇に行く、という話を聞いた公爵は、感激して目を潤ませてしまったくらいだった。
無理に娘を結婚させるのはやめようかな、とコンラット公爵が思い始めた矢先、長男のヘイデンがこんなことを言い出した。
「父上、ディアを魔導士団の方で働かせるつもりはないですか」