2度目の人生で世界を救おうとする話。後編

2.望まぬ衝突と本性





*****



神様との話が終わり、数分後。
私たちの予想通り、姫巫女と守護者たちは私たちの目の前に現れた。



「ここに居たんだね、紅ちゃん」



守護者たちの先頭に立つ姫巫女が真剣な表情で私を睨む。
まるで正義のヒロインのような姫巫女の後ろにはどこか様子のおかしい、蒼、琥珀、武、朱がいた。

全員の瞳にはまるで生気がない。
人形のようなそんな瞳だ。



「…何でここがわかったの」



こちらを睨む姫巫女に私は質問してみる。

なるべく1度目のように戦闘はしたくない。
私たちがやるべきことは時間稼ぎであり、戦って姫巫女たちに勝つことではないのだ。
私が少しでも死ぬ要素は排除した方いい。



「…ここら辺を探せば紅ちゃんと大厄災に会える気がしたの」

「…」



そんな都合のいい話があるのだろうか。

私の質問に真剣に答える姫巫女に私は疑問を抱く。

ここは適当に探して見つけられるような場所ではない。
やはり他の世界の神とやらが姫巫女に介入した影響で、こんな展開になっているのだろうか。



「私たちは人間に危害を加えるつまりはない。だからさっさと帰ってくれない?」



こちらを睨み続ける姫巫女に私はそう主張し、帰るように促した。
正義のヒロインならここで話し合う選択をして、無駄な争いはせず、帰る選択だってできるはずだ。



「その保証はどこにあるの?嘘じゃないと言える?大勢の誰かが殺される前に大厄災は再封印しなければならないんだよ?紅ちゃんも能力者なんだからわかるよね?」



だが、私が相手にしていたの正義のヒロインではなく、姫巫女だ。
私の主張など一切聞き入れようとしない。
表情だけは不安そうにしており、儚げで、庇護欲を煽る存在の姫巫女だが、言っていることはあまりにも人間ファーストで、妖は絶対悪だと主張する自分勝手さがある。頭の固い能力者上層部と同じだ。



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