禁じられた恋はその胸にあふれだす
「どこに行ってたの?」

「どこって、町役場に。」

「町役場?」

よく見ると、何か紙を持っていた。

「何、それ。」

「いや、これは……」

悠真君が、言うのを躊躇うなんて。

きっと、昔の事を調べていたんだ。


「どうせ、元の場所に戻るんでしょ。」

「一花……」

「私との事も、それまでの間だけなんでしょ。」

「違うよ!」

悠真君は、大きな声を出した。

「違うよ、一花。俺は、ただ自分の事を知りたいだけなんだ。」

そして、私を抱きしめてくれた。

「一花。君を置いて、いなくなったりしないよ。信じてくれ。」

その甘くて優しい声が、私の身体を包み込むようだった。
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