禁じられた恋はその胸にあふれだす
記憶喪失。

名前と生年月日以外、何も知らない大崎悠真。

気の毒としか、言いようのない。


「あの、大崎さん。」

呼んでも、こっちを向いてくれない。

「あの!」

大きな声を出すと、びっくりした顔をしてこっちを向いた。

「すみません。大崎って、慣れてないもんで。」

何?馬鹿な事言ってんの?自分の苗字なのに。

って、言いたいけれど、記憶喪失なんだから、仕方がない。


「これからどうするんですか?」

「ああ、警察にでも行って、捜索願出されてないか、聞いてみます。」

私はため息をついた。

スマホを取り出して、同級生に電話した。

こんな片田舎なもので、警察官も同級生だ。

「捜索願出てないか、調べてくれないかな。名前は、大崎悠真。生年月日は……」

「はいはい、うーん。出てないね。」

「そう、有難う。」

結果が早く出てよかった。

「で?これからどうするんですか?」

私は再び、大崎悠真に尋ねてみた。
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