天敵弁護士は臆病なかりそめ妻を愛し尽くす
いきなり宗則から話し合いから外れるように言われて困惑する。そのとき母親である美穂(みほ)もそうしなさいと頷いた。
「娘に見せたくない姿ってものがあるのよ。いつまでもあなたの目にはどんな動物も救うヒーローでいたいんだと思うの」
美穂の言葉に納得して、ピッピを連れて部屋を出る。
実家の裏口から保護犬たちのいる犬舎の方へまわると犬たちはうれしそうに尻尾を振ったり吠えたりした。
今預かっている四匹の犬と、ピッピを連れて裏庭にでる。広いだけだが犬たちは楽しそうに走り回っているし、ピッピもすぐになじんで楽しそうにじゃれ合っている。
こんな風に無邪気に遊んでいる子たち、ここに来るまでは過酷な環境で育ってきたんだろうな。
「純菜」
「……さ、じゃなかった。壱生さん。お話終わりましたか?」
「ああ、今後は銀行から追加の融資が下りやすいように事業計画の相談に乗ることにした」
「そんなことまで……ありがとうございます」
純菜ひとりでは、こんなスムースな形で解決しなかっただろう。いや、他の弁護士に頼んでもこんなにうまくはいかなかったはずだ。
しばらくふたりで、遊んでいる犬たちを眺めた。
「うちずっと貧乏だったんです。でも行き場のない子たちを新しい家族の元に送り出す仕事をする両親は今でも自慢です」
「そうだな。なかなかできることじゃない」
壱生も穏やかな口調で賛同してくれた。
「それなのにあんな詐欺みたいな融資にひっかかって……世の中理不尽ですよね」
騙された両親も悪いのかもしれない。けれどなんだか報われていないような気がして気持ちが沈みうつむいた。
そんな純菜の手を壱生がぎゅっと掴む。
「その理不尽に対抗するために俺みたいな弁護士がいるんだろ。君の大事なものは俺が守ってやる」
「……壱生さん」
なんて心強い言葉なのだろうか。この人はとても強くて優しい。その情の深さに触れるほど彼に対する見方が変化してくる。
私……鮫島先生に対する気持ち変わってきてる?
恋愛なんてできないと思っていたのに、この数日間で純菜の中に怒った気持ちの変化はかなり大きなものだった。
心の中に宿るあったかくてくすぐったい感情。まさかと思う気持ちもあるけれど、目の前にいる壱生を見ているとどんどん大きくなっていき恋を自覚しないでいられない。
「娘に見せたくない姿ってものがあるのよ。いつまでもあなたの目にはどんな動物も救うヒーローでいたいんだと思うの」
美穂の言葉に納得して、ピッピを連れて部屋を出る。
実家の裏口から保護犬たちのいる犬舎の方へまわると犬たちはうれしそうに尻尾を振ったり吠えたりした。
今預かっている四匹の犬と、ピッピを連れて裏庭にでる。広いだけだが犬たちは楽しそうに走り回っているし、ピッピもすぐになじんで楽しそうにじゃれ合っている。
こんな風に無邪気に遊んでいる子たち、ここに来るまでは過酷な環境で育ってきたんだろうな。
「純菜」
「……さ、じゃなかった。壱生さん。お話終わりましたか?」
「ああ、今後は銀行から追加の融資が下りやすいように事業計画の相談に乗ることにした」
「そんなことまで……ありがとうございます」
純菜ひとりでは、こんなスムースな形で解決しなかっただろう。いや、他の弁護士に頼んでもこんなにうまくはいかなかったはずだ。
しばらくふたりで、遊んでいる犬たちを眺めた。
「うちずっと貧乏だったんです。でも行き場のない子たちを新しい家族の元に送り出す仕事をする両親は今でも自慢です」
「そうだな。なかなかできることじゃない」
壱生も穏やかな口調で賛同してくれた。
「それなのにあんな詐欺みたいな融資にひっかかって……世の中理不尽ですよね」
騙された両親も悪いのかもしれない。けれどなんだか報われていないような気がして気持ちが沈みうつむいた。
そんな純菜の手を壱生がぎゅっと掴む。
「その理不尽に対抗するために俺みたいな弁護士がいるんだろ。君の大事なものは俺が守ってやる」
「……壱生さん」
なんて心強い言葉なのだろうか。この人はとても強くて優しい。その情の深さに触れるほど彼に対する見方が変化してくる。
私……鮫島先生に対する気持ち変わってきてる?
恋愛なんてできないと思っていたのに、この数日間で純菜の中に怒った気持ちの変化はかなり大きなものだった。
心の中に宿るあったかくてくすぐったい感情。まさかと思う気持ちもあるけれど、目の前にいる壱生を見ているとどんどん大きくなっていき恋を自覚しないでいられない。