禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
この殺伐とした状況の中、私はそうやって根拠のない自信を持って、ふと気を抜けば崩壊してしまいそうな自我を保ち続けていた。
ふふふっ。でも今日の幸運のおかげで、またしばらくは頑張っていけそう!
私は喜びで顔を綻ばせ、へにゃりと相好を崩す。
「すみません、つい喋りすぎました。これからお隣同士、よろしくお願いいたします。それでは失礼しますね」
「……待て」
挨拶を終えて立ち去る私の腕を、九條さんの大きな手が引き止めるように掴む。
彼は冷たい面差しを崩し、心配そうな様子で微かに眉を寄せながら、「なにかあれば助けになる」と告げてきた。
少し無愛想でクールなこちらの口調の方が、彼の素なのかもしれない。けれど少年みたいな不器用さを感じて、不思議と嫌いじゃなかった。
それから、腕を掴む優しい力加減も。
「ありがとうございます。なにかあれば」
「ああ、いや。違うな。たとえ些細なことでも頼ってくれて構わない。……なんだか、あなたを放っておけないんだ」
じっと真剣な顔つきで見つめられ、一瞬、心が揺れる。
ふふふっ。でも今日の幸運のおかげで、またしばらくは頑張っていけそう!
私は喜びで顔を綻ばせ、へにゃりと相好を崩す。
「すみません、つい喋りすぎました。これからお隣同士、よろしくお願いいたします。それでは失礼しますね」
「……待て」
挨拶を終えて立ち去る私の腕を、九條さんの大きな手が引き止めるように掴む。
彼は冷たい面差しを崩し、心配そうな様子で微かに眉を寄せながら、「なにかあれば助けになる」と告げてきた。
少し無愛想でクールなこちらの口調の方が、彼の素なのかもしれない。けれど少年みたいな不器用さを感じて、不思議と嫌いじゃなかった。
それから、腕を掴む優しい力加減も。
「ありがとうございます。なにかあれば」
「ああ、いや。違うな。たとえ些細なことでも頼ってくれて構わない。……なんだか、あなたを放っておけないんだ」
じっと真剣な顔つきで見つめられ、一瞬、心が揺れる。