禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
連絡手段はないのでお隣へ直接インターホンを押しに行く。すると在宅だったらしく、すぐに九條さんが出てきた。
昨晩とは違って、鎖骨が見えるVネックのカットソーにスラックスという格好で出てきた彼の姿に、思わずきゅんと胸がときめく。

「こんばんは、東藤です。あの、夫からお話は聞かれていますか?」
「はい。まさか早速の夕飯のお裾分けをいただけるなんて、光栄です。もしよければ、奥様も一緒に食べませんか?」
「えっ! その、お誘いは嬉しいのですが」

夢みたいなお誘いに頬が熱くなる。
でも九條さんの家で二人きりというのは、一応夫がいる身としてはまずいかもしれない。一緒にご飯を食べたら楽しそうだけど、東藤の怒りをかったら大変だ。
そんな私の心情を察したのか、九條さんがやわらかく目を細める。

「大丈夫。東藤さんの許可は得ていますから」
「そ、それなら……お言葉に甘えて、お邪魔させてください」
「はい」

私の返事に、彼の唇が艶やかに微笑みを浮かべた。
私は家のキッチンに引き返し、二人分の料理とデザートを保存容器に詰める。それからまた戻ると、九條さんが待っていてくれた。

「どうぞ入って」
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