禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
思ってもいなかった彼の対応にどぎまぎする。
私は彼に勧められた通りダイニングテーブルの椅子を引いて、ちょこんと遠慮がちに座った。
しばらくすると、九條さんがお皿に盛り付けた料理を運んでくる。器はどれもシンプルでお洒落だ。
ほかほかの料理が並ぶ横に、白米が大盛りにされているお茶碗。そして何倍も小盛りのお茶碗が、こちらへ配膳される。
「わっ! すみません、ご飯を持ってくるのを忘れてました」
「ああ、大丈夫。あなたの料理がたくさん食べられるかもと思って、用意していたんだ。料理はまったくできないけれど、白米はかろうじて炊けるから」
九條さんは少しおどけた様子で肩をすくめる。その仕草が、苦手なものを告白した少年みたいに可愛くて、思わず「ふふっ」と笑顔が漏れた。
「よかった。ちゃんと笑ってくれて」
「へ?」
そう言われて、ふと気がつく。
私、もしかして九條さんの前でだけ、自然に笑えてる……?
思い出すと、初対面の時からそうだった。昨日も、今日も。意識しないと強張り続ける頬が、彼の前ではいつのまにか緩んでいる。
私は彼に勧められた通りダイニングテーブルの椅子を引いて、ちょこんと遠慮がちに座った。
しばらくすると、九條さんがお皿に盛り付けた料理を運んでくる。器はどれもシンプルでお洒落だ。
ほかほかの料理が並ぶ横に、白米が大盛りにされているお茶碗。そして何倍も小盛りのお茶碗が、こちらへ配膳される。
「わっ! すみません、ご飯を持ってくるのを忘れてました」
「ああ、大丈夫。あなたの料理がたくさん食べられるかもと思って、用意していたんだ。料理はまったくできないけれど、白米はかろうじて炊けるから」
九條さんは少しおどけた様子で肩をすくめる。その仕草が、苦手なものを告白した少年みたいに可愛くて、思わず「ふふっ」と笑顔が漏れた。
「よかった。ちゃんと笑ってくれて」
「へ?」
そう言われて、ふと気がつく。
私、もしかして九條さんの前でだけ、自然に笑えてる……?
思い出すと、初対面の時からそうだった。昨日も、今日も。意識しないと強張り続ける頬が、彼の前ではいつのまにか緩んでいる。