禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
何度も角度を変えながら強引に唇を貪るような二度目のキスに、瞳がじわじわと熱くなる。
棗さんが舌をやわらかく絡め、上顎を撫でるように動かすたびに、背筋にびりびりと甘い痺れが走った。

「んんっ……ふ、ぁ……っ」

息継ぎも上手くできずに翻弄される。
背徳的な行為をしているのに、彼を拒んだりできない。

身体の奥が熱くなって、とろけてしまいそう……。

好きな人とするキスがこんなにも甘くて、何も考えられなくなるものだとは想像もしていなかった。

棗さんは甘く艶やかな吐息とともにゆっくりと、名残惜しそうに唇を離す。

「俺の命を懸けて、全力であなたを守る。家族や会社も安全に東藤から切り離すためにも、あと二ヶ月……耐えられるか?」
「はい。……棗さんと、一緒なら」

私は彼を信じたい。そしていつか訪れるかもしれない、私と家族と会社の幸せな未来も。
棗さんは甘い垂れ目をさらに穏やかにして、「よし」と私の頭を大きな掌でぽんぽんと撫でた。

それからは、いよいよ夕飯を食べた。少し冷めちゃっていたけれど、好きな人と一緒に囲む食卓は格別で、そんなの全然気にならなかった。
それは棗さんも同じだったみたいだ。
彼は豚カツの衣のサクサク具合に目を瞬かせながら、「美味しい」と次々に頬張ってくれる。
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