禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
それが確かに彼女に届いていたのだ。俺はまるで長年片想いし続けていた文通相手と心を通わせられた時のような、偽りの多かった自分の人生を手放しで褒められたかのような、そんな感情を抱いた。

「あと三回で最終回だと思うとすごく寂しくて……。心の支えをひとつ、なくしてしまったみたいな気持ちです」

彼女はこの仕組まれた邂逅に喜び、悲しみ、寂しそうにくるくると表情を変える。
彼女への罪悪感、救いたいという正義感、それから東藤に奪われてなるものかという独占欲が、俺の中で熱を帯びて複雑に絡み合う。

――なんだ。俺は二年前から彼女に一目惚れをしていたのか。

自覚した瞬間、接触は最低限という目標が脆く崩れ去った。
作戦は変更だ。彼女をこちらで保護する時間を最大限捻出して、東藤を監獄送りにしてやる。

「なにかあれば助けになる」

盈水會幹部としての地位、公安の情報網に違法捜査、使えるものは全て使って……俺があなたを奪う。

連絡手段がないのは承知の上。だから、ただ、あなたを心の底から助けたいと思っている人間がここにいると、知っておいて欲しかった。
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