禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
……彼女をこのまま奪い去れたらどれほど幸せか。
彼女の家族や会社も全て救うとなると、まだ完全に保護はできない。最短でも三ヶ月、もどかしい時間を過ごすしかない。けれども。

上目遣いでこちらを見つめてきた彼女から無意識に向けられた、恋情を隠そうと必死な、熱を帯びた甘い視線に――彼女のために命がけの死線をくぐり抜けてきた俺の鉄壁の理性は、とうとう焼き切れてしまった。

「清華」
「棗、さん」

背徳的な行為だとは知りながら、独占欲に支配された俺は、彼女に触れるだけのキスをする。それからは禁断の果実を貪るように、清華を求めた。

「んんっ……ふ、ぁ……っ」

舌を絡ませ深いキスをする度に、苦しく切なく満たされないばかりの渇愛が押し寄せる。熱く燃え上がる劣情が、清華のすべてを欲しがった。

愛しているとはまだ告げられない。だが必ず、あなたを奪ってみせる。
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