禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
「清華、こんな時間だが少し食べた方がいい。最近あまり食べてないんだろう?」
「えっ、どうしてそれを」
「あなたは東藤の前で食事ができないようだったから」

その通りだった。今夜だってほとんど飲み物にしか口をつけていない。
彼はルームサービスを取っていてくれたようで、「失礼致します」とホテルスタッフがワゴンを押して入ってきた。
ソファの前のテーブルに美しいクロスが敷かれる。軽食とシャンパン、それからフルーツと、花火がパチパチと弾けているホールケーキが並んだ。

「もしかして、誕生日ケーキ?」
「せっかくだから特別に作ってもらったんだ」

先週の新聞で紹介されていた、このホテルの有名シェフが手がけている高級夕張メロンをふんだんに使用したタルトだ。

「新聞の写真、どうしても食べたいって顔で見ていたから。違った?」
「違わないです。わあ、ありがとうございます」
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