禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
誕生日ケーキも嬉しいけれど、なにより、私の何気ない様子も気にかけてくれていた棗さんにキュンとしてしまう。
誰にも祝われない誕生日をひっそりと終えようとしていたのに、あまりにも幸せすぎて胸がいっぱいだ。


それからは、棗さんと一緒に特別な時間を過ごした。

だけど四十九日目の夜まで、あと三日。もうすぐ私は純潔を失ってしまう。
秘密を抱える棗さんとの未来まで望んだりはしないから……。たった一晩だけでいい。大好きな彼の腕の中で眠りたい。

これっきり、だから。

そう誓って、私はとうとう棗さんに初めてを捧げる決意を固めた。

「棗さん……」

私は隣に座る彼にぎゅっとすがりつくように抱きつく。

「あまり煽らないでくれ。俺も男だから、あなたを抱きたくなる」
「……それなら、抱いてください。初めては、棗さんがいい」

消え入りそうな声で懇願する。
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