禁断溺愛〜政略花嫁は悪魔に純潔を甘く奪われ愛を宿す〜
「こちらこそ、すみません――っ!」
男性を見上げて、私は思わず息を呑む。そこに立っていたのは、まさに絶世の美青年だった。
年齢は三十代前半くらいだろうか。
艶やかに整えられた黒髪に、日本人には珍しい紫色の透き通った瞳。
顔立ちはとても整っていて、長い睫毛に縁取られた二重のアンニュイな甘い垂れ目が、大人の色気を醸し出している。
百八十センチを超える体躯はすらりと細身ながら胸板はほどよく逞しく、ウエストラインは引きしまっていて。いかにも高級そうな英国スタイルの三つ揃えスーツが、驚くほど似合っていた。
……なんだか、美しい悪魔みたい。
妖艶な雰囲気を醸す美貌は近寄り難さもあるけれど、怜悧な騎士のごとく凛然とした美しさには誰もが目を奪われるに違いないな……と、ひっそり思った。
すると彼は、私の閉じたポストの表札を見て、「もしかして三十五階にお住まいですか?」と声を掛けてきた。
「は、はい。東藤清華と申します」
「東藤さんですか。本日、隣の部屋に引越してきた九條棗です。今から荷物の搬入が始まるので、うるさくしてしまったら申し訳ありません」
男性を見上げて、私は思わず息を呑む。そこに立っていたのは、まさに絶世の美青年だった。
年齢は三十代前半くらいだろうか。
艶やかに整えられた黒髪に、日本人には珍しい紫色の透き通った瞳。
顔立ちはとても整っていて、長い睫毛に縁取られた二重のアンニュイな甘い垂れ目が、大人の色気を醸し出している。
百八十センチを超える体躯はすらりと細身ながら胸板はほどよく逞しく、ウエストラインは引きしまっていて。いかにも高級そうな英国スタイルの三つ揃えスーツが、驚くほど似合っていた。
……なんだか、美しい悪魔みたい。
妖艶な雰囲気を醸す美貌は近寄り難さもあるけれど、怜悧な騎士のごとく凛然とした美しさには誰もが目を奪われるに違いないな……と、ひっそり思った。
すると彼は、私の閉じたポストの表札を見て、「もしかして三十五階にお住まいですか?」と声を掛けてきた。
「は、はい。東藤清華と申します」
「東藤さんですか。本日、隣の部屋に引越してきた九條棗です。今から荷物の搬入が始まるので、うるさくしてしまったら申し訳ありません」