男達が彼女を離さない理由
8番目
 3日後の夜、カフェに行くと彼女が独りで居た。
 コーヒーを買ってから離れたところに座ろうとする俺に、彼女は手招きした。彼女の前の椅子にすぐに向かうことを今日は避けた。何故だ。3日前に男と居た彼女に対する反撃、みたいな感情。嫉妬か?
「こんばんは」
 と彼女はいつもと変わらぬ挨拶をした。知らないフリをするのも不自然と思い、
「こないだは男性と一緒でしたね」
 と訊いてみた。
「はい。ボーイフレンドの1人なんです」
 と彼女は答えた。え? 「~の1人」? それって複数居るってことだよね。
「え? いっぱい居るの?」
 と口を突いて出てしまった。なんて失礼なことを…。
「はい、いっぱい居ます。と言っても今は7人、ですけど」
 お互いの名前も知らず、プライベートも全く語らないのに、ボーイフレントの数は簡単に教えてくれるんだ、へー、とちょっと面食らった。しかも「今は」と言った。聞き捨てならぬ。
「こ、こないだの男性は同級生かなんかですか」
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