線香花火の初恋【短編】
「岸田くん、わたし…」

続きが聞きたくなくて、キスで言葉を封じた。彼女が離れたそうに身を捩ったので、わざと音を立てて唇を吸ってやる。
まくしたてるように、性急に言葉を紡ぐ。

「花本、逃げられると思ってる?あんだけ、俺のことが好きっていったのに。なしなんてできないから」

ほぼ無理やりいわせたようなものだけど。
彼女は顔を赤くして、俯いた。耳の先から布団が出ている肩のラインまで真っ赤に染まっていた。眉毛を八の字にして、泣きそうな顔をしている姿にいささか欲情してしまって、下半身が盛り上がるのが分かり、舌打ちした。
彼女は怯えたように、震えた。誤解を生んだのがわかり、すぐ後悔をした。

「違う、この舌打ちは花本のせいじゃないから」

「…わたし、岸田君をいつも怒らせているね」

その声はあきらかに今までのことを言っているのであろう。彼女は目を伏せて、懺悔した。
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