線香花火の初恋【短編】
「結ばれたの?!いつから?」
と手をとって喜ばれた。

「残念だけど、結ばれていない」

「そっか、失恋かあ。なら新しい恋だね?」

失恋。そうだ、私は恋を終わらせたんだ。自分の思い出にしまって、封印した。
失恋の言葉が消化できず、胸の奥底がじわじわともやが広がる。でも、彼は終わらせてくれない。彼の視線に気づいてから、私の封印している底が疼いて仕方ないのだ。逃げるようにその視線から逃れようとしても、いつの間にかまた見られているのだ。目が合うと逸らしてしまうのは、最後に見た馬鹿にしたような昏い瞳だから。

「新しい恋もいいかもね。高校の思い出、3/1くらい岸田君だもん」

「ほんと、さっさと言えばよかったのに。勿体ないよ、青春には期限があるんだから」

青春は勝手にイベントがふってきて、大人はイベントは自らが作らないと起きなくなる。母がそういっていたのを思い出した。だからこそ、楽しみなさいって。

「愛ちゃんは?恋多きモテ女じゃん」

彼女はシニカルに笑った。普段する人懐っこい笑顔とは違った顔だった。なんだか知らない雰囲気に胸がどぎまぎしている。


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