私の恋心と彼らの執着
……気がついた時、私はどこかの店先のベンチに座っていた。
座らされていた、と言うべきかもしれない。なにせ、目の前が急に暗くなった、と思ってからベンチで我に返るまでの記憶がないから。
左右を見渡してから後ろを振り返った時、その店の扉から出てくる文隆と目が合った。手にはグラスを持っている。
「ここは?」
「さっきの場所からそんな離れてない。急に倒れそうになったから、気分良くなるまでって店の人に頼んで、ここ貸してもらった」
言われて左右をもう一度見てみれば、確かにここはさっき歩いていた車道沿いの道だ。たぶん、立ち止まった場所と十メートルも離れていない。
そしてもう一度振り返ると、建物は小じゃれたログハウス仕様で、中は喫茶店のようだった。
このベンチは多分、満席の時にお客さんを待たせておくためのものなのだろう。そう気づいて慌てた。
「もう大丈夫だから。行こう」
「慌てるなよ。まだ顔色ちょっと悪いぞ。日曜でいつもほど混まないだろうから気にしなくていいって言われてる。
とりあえず、水もらってきたから飲めよ」
差し出されたグラスには、水が八分目ほどの量で注がれている。受け取って飲むと、ほのかにレモンの風味がして美味しい。思ったよりも喉が渇いていたことを自覚して、残りの水を一気に飲み干した。