私の恋心と彼らの執着
そんなふうに自分語りをしているうちに、なんだか可笑しくなってきた。
私を毎週抱きながらあの人は、奥さんとも仲良くしていたんだと思うと、自分が本当にバカみたいに思えてきたから。
いや、みたい、じゃなくて確実にバカなんだ。
彼に奥さんがいるのをわかっていて、付き合った。
そして一度だって、奥さんと仲が悪いなんて話は聞いたことなかった。それが示す意味を察していながら、別れなかった。
はじまりの段階から、私ひとりが目をそらしていただけだった。私だけが。
文隆もさぞかし呆れているだろう。今さらだけど。
そう思って隣を見ると、予想外にどういうわけか、私をいたわるような表情をしていた。文隆が彼のことを話す時──特に「もうやめろ、別れろよ」と言う時にはいつも、苦虫を噛みつぶしたみたいな顔をしているのに。
のばされた指に頬を拭われて、はっとする。
……私、気づかないうちに泣いていた?
「本気で好きだったんだな、あいつのこと」
ひどく優しい口調で言われて、何かの抑えがなくなったような心地がした。
ぼろっと、大粒の涙がこぼれ落ちて頬をつたう。
「──そうみたい。自分でも、こんなに本気になってたなんて、思わなかった……」
恋心はほとんどなくなっていると思っていた。
私から別れを切り出さないのは、意地みたいなものだと。
だけど、違った。
恋心がいつからか、それより深い感情に変わっていただけ。
……あの人を、愛していた。
だから手放したくなかった。