私の恋心と彼らの執着

 私の答えに、文隆は視線を落として、ピザの残りをじっと見つめていた。
 正確に言うなら、たぶんピザのその先、フローリングの床も通り越したどこでもない所を。

 食べ終わり、空き箱を片づけようと立ち上がりかけた時、ぐっと腕を引かれた。何の前触れもなかったので、引かれた勢いのままに後ろに倒れ、文隆の身体にぶつかる形になった。

 体勢を直そうとしたけど、直前で文隆の腕に阻まれて、そのまま閉じこめられる。

「文隆?」
「ゆかり」

 私を抱きしめながら呼びかけた声は、少しかすれていた。

「おまえ、俺にももう会う気、ないんだろ」

 図星を指されて、とっさに言葉を返せなかった。
 ふうっと、髪の毛越しに小さくためいきをつかれる。

 転職して引っ越すと言った時、文隆には止められたのだ。
 あいつを忘れなくてもいいから付き合ってほしい、とも言われた。

 だけどそんなことはできない。
 文隆の気持ちが真剣であるのがわかるからこそ、それに便乗してはいけないと思った。
 想ってくれることに甘えてはいけないと。
 いつか、互いを重荷に感じるかもしれない。文隆とそんな関係にはなりたくない。

「だったら、一晩だけでいいから、俺の彼女になって」
「…………」
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