ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 キスをするなら慎一郎さんがいいと思った。この人ならきっといいレッスン相手になってくれるだろう。

 恋の甘さも、つらさも全部。知りたかったなにもかも。あなたなら。

 顎をすくわれて、そっと瞼を閉じる。

 初めて知った唇の感触。私のファーストキス……。

「嫌か?」

 彼の甘い瞳の輝きに、今夜ひとときでいい、心を預けてみようか。

 言葉で言えない代わりに、横に首を振り、心でささやいた。

 慎一郎さん、教えてください。私に恋人と過ごす甘い時間とはどんなものなのか。

 抱き締めて欲しいときに、微笑んで私を包み込む優しさを、私に……。


 彼はいとも簡単に私を抱き上げた。

「お、重たいのに」

 クスッと笑った彼は余裕の表情だ。

「軽いさ」

 ゆっくりと私をベッドに下ろす。

「体力に自信がなくちゃ外科医は務まらないよ」

 それから耳もとでささやいた。

「だから今夜は覚悟するといい」



 シャワーを浴びながら、本当にいいのかなと何度も考えた。

 本当に好きになってしまったらどうしよう。

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