ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

 氷室さんが、次々と料理を運んでくれる。

 エビが透けて見える生春巻きに、骨付き肉の角煮。カオマンガイなどなど。国際色豊かなメニューだ。

「しばらく店に来ないと思ったら、まさかの結婚だもんな」

「ああ、そういえば、桜子を助けてくれたお客さんは仁の祖母だったよ」

「そうなんですかっ! シルバーヘアのお客様」

「そうそう。夕月さんのこと気に入っててさ、あんたのお嫁さんにどうかと思ってたら、優秀な外科医に持って行かれちゃったってね」

 嘘みたい。
「――世の中、狭すぎです」


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