9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「あのとき、皇太子殿下に無礼な態度を取ったのは百も承知です。ですが、だからこそ、改めて謝罪をしたいのです。そしてエンヤード王国の今後のために、友好な関係を築きたいと考えています」

「しつこいぞ。とにかく使者はカインに勤めさせる。今後お前が何を言おうと、覆すことはない。さっさと出て行け。さもなくば、衛兵につまみ出させるぞ」

 エンヤード王の有無を言わさぬ発言に、エヴァンはついに返す言葉を失った。

 うつむき、拳を固く握りしめる。

「……承知しました」

 そして低く唸るように答えると、執務室をあとにした。



カインがオルバンス帝国に旅立つ日は、青空に白い綿雲の広がる、心地よい気候となった。

馬車付き場にはカインの乗る長距離移動用の三頭立ての馬車、護衛用の馬車、荷物運び用の馬車などがずらりと準備されている。

エンヤード王は教会で開かれるダリス神の祝祭のため、城に不在だった。
< 241 / 348 >

この作品をシェア

pagetop