9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「薬学研究所への出入りを許可する代わりに、一日君と過ごしたいと言っただろう?」

「あ、そういえば……」

ここのところは、特効薬を広めるのに躍起になっていて、それについてはすっかり頭の中から抜けていた。

なぜか、思いがけないところからプレゼントを見つけたような、弾む気持ちになる。

「明日の朝、部屋まで迎えに行く。衣装も用意するから心配するな」

「……衣装、ですか?」

「明日になれば分かる」

意味深に口角を上げて微笑むと、明日の詳細については何も告げぬまま、デズモンドは部屋から出ていった。



翌朝。

いつものように身支度をしようとしていたセシリアのもとに、エリーがやってくる。

「セシリア様。本日はこちらの衣装をお召しになるよう、皇太子殿下から言付かっております」
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