9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「はい。そもそも、現王妃は聖女ではございません。それでも、この国は平和に統治されています。聖女を伴侶にすると国が栄えたという歴史から、セシリア様は同じ年頃の殿下の婚約者に指名されましたが、聖女は必ずしも正妃になる必要はないのです。本来は、正妃でなくとも、国民のために生きればよいお立場なのですから。そうお考えになったら、少しは重圧を感じなくて済むのではないでしょうか」
「聖女は、正妃である必要はない……?」
放心状態で、セシリアはその言葉を反芻した。
これまでの繰り返し人生の中で、それについて考えたことはなかった。
だがシザースの言うように、たしかに聖女は必ずしも国王と結婚しないといけないわけではない。
セシリアの前の代の聖女は、エヴァンの曾祖父である前国王の正妃だった。
若い頃は女神のごとく美しい女性で、それはそれは前国王に愛されたと聞く。
「聖女は、正妃である必要はない……?」
放心状態で、セシリアはその言葉を反芻した。
これまでの繰り返し人生の中で、それについて考えたことはなかった。
だがシザースの言うように、たしかに聖女は必ずしも国王と結婚しないといけないわけではない。
セシリアの前の代の聖女は、エヴァンの曾祖父である前国王の正妃だった。
若い頃は女神のごとく美しい女性で、それはそれは前国王に愛されたと聞く。