9度目の人生、聖女を辞めようと思うので敵国皇帝に抱かれます
「普通の人生を送る予定でおられたのに、突然神より聖女のおぼしめしがあったのですから、悩まれるのも無理はございませぬ。こんなことを申し上げるのは不敬に思われるかもしれませんが――」

それからシザースは周りに目を配ると、セシリアに小声で告げた。

「聖女は、必ずしも王太子様、ならびに国王の役に立たなくてもよいのです。そもそも、王室の方のためではなく、この国のために神から使わされた存在なのですから、そう気負うことはございません。気持ちを楽にして、ありのままのあなたでいらっしゃればよい」

セシリアは目を瞬いた。

聖女として生まれ、国王の役に立たなくていいなどと言われたのは、初めてだったからだ。

「――本当に、それでいいのですか?」
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