美しすぎる令嬢は盲目の彼を一途に想う
「少し小さめな瞳……だけど丸くて可愛いつぶらな瞳だ。髪色は黒髪かな? 少し直毛で張りがあって……君の真っすぐな性格を表すような、力強さを感じる髪だ。お散歩が好きな君は、少し日に焼けていて小麦色の肌をしている。女性にしては少しガタイが良くて筋肉質な逞しい腕をした、とても頼りがいのある姿だ」

 自信満々に言う彼の言葉を聞いて、私は吹き出しそうになるのを必死に堪えた。
 だって彼がイメージしてる私の姿って、本当にゴリラ女なんだもの。

 私のアクアマリンを彷彿とさせる大きな瞳も、柔らかくしなやかで透き通るような亜麻色の髪も、日に当たっても焼けない色白な肌も、小柄な体格も何一つ、彼の思い描く私のイメージに当てはまらない。

「ふ……ふふっ。いい線いってるわよ」

 本当、きっと私の姿を見たら驚くわよ。

「あとは、そうだな……よく笑う君の笑顔は眩しい太陽の様だ」

 そう言ってアルは目を開き、私を愛おしそうに見つめてきた。

 目が見えない彼にとって、唯一存在を確認できる太陽がどれほど大事な存在なのか――その意味を知っているからこそ、彼の言葉が嬉しくて視界が歪んだ。

 貴方はきっと知らないでしょうね。
 私が笑えるようになったのは、貴方のおかげ。
 貴方が私の隣にいてくれるだけで、自然に笑みがこぼれるの。

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