アラ還でも、恋をしていいですか?



「ありがとうございます!本当にあなたは優しいひとですよね…だから、ぼくは幸子さんが好きです…年齢など関係ありません。たしかに、はじめは幸子さんと同じ島にいた祖父がきっかけでした…祖父健一は本当は幸子さんが好きでしたが、10の年の差があり諦め幼なじみと結婚を…だが、幸子さんが不幸と知り無理をして近くへ…その前から章さんの浮気調査を始めていました」
「健一兄ちゃんが…でも、なぜ近くにいたのに私を訪れ無かったの?」
「はい。自分を抑える自信がないからだ…と言ってました。あなたに罪を犯させたくないと。だからぼくを代わりに……でも、ぼくはあの小学生の…初めて会った時からあなたが好きでした」

そして、敬一くんは私をギュッと抱きしめる。
 
「お願いです…好きなんです!ぼくを選んでいただけますか?」

真剣な声と眼差しに、どきん、どきんと心臓が壊れそうなくらい高鳴ってる。


知らなかった。男性がこんなにも力強くて、熱くて、かたく広い体を持っているなんて。

お日さまのような薫り。囁くような低い声。おおきな手は、離したくないと言うように私の背中にまわされてる。

私も、叫びたかった。


(私も……私も好き!あなたが…でも……)


「私は還暦を過ぎた既婚者で、あなたはまだ20代の若さなのよ…こんな老いぼれた女…後で絶対後悔するわ」

彼を想えばこそ、当たり前の答えを返すしか無かった。

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