彼の指定席


「ゲームしなくてもいいから。ちょっと中に入るだけだから」


『はぁ? 意味わかんないんだけど』



彼に会いたい思いが募って。


あたしは半泣きになりながら、沙織に事情を話した。



『もうっ! あんたって子は! なんでそうハッキリ言わないの!』



彼のことを聞いた沙織は、子供を叱る母親のような口調で一喝した。



『分かった! そういう事情があるんなら……。行くよ、ゲーセン!』



……沙織、ありがとう。
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