彼の指定席



彼は、あたしの態度なんか気にもしていないんだろう。


ははっと笑いながら言ったんだ。



「そうしようかな。ペペロンチーノ食べたくなったら、あっちに行くよ」


「……その方がよろしいかと」




私情を持ち込んで、客を追い出しているよ、あたし。



競合店を勧めるなんて。

あたし、ダメダメじゃん。



この店の従業員として。


そして……。


彼に片思いしている女として。


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