彼の指定席


――そして、あたし。

仕事なんだよ?

もっと気を引き締めなきゃ、ダメでしょう?



増永さんは、お客様の一人なんだよ?

仕事に私情を挟むなんて、ウェイトレス失格だよ!?



目を覚まさせるように、自分の頬を両手でパチパチと叩く。



「よしっ、頑張れ、あたし!」



狭い個室の中。

自分に気合を入れると、あたしは洗面所で顔を洗ってからホールに戻った。


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