若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
マリーが、

『落ちるっ!!』

と、思った瞬間、逞しい腕がマリーの腰にスッと回った。
しっかりと支えられ、マリーは湖に落ちずに済んだ。

マリーは突然のことにどう反応していいか分からず固まってしまった。マリーの鼓動が早くなる。

「そのまましっかり引いて。」

と、マリーの頭の上からトーマス王子の声がした。
トーマス王子の腕はマリーの腰をがっちりと固定しており、もう片方の手で、マリーが持っていた釣り竿をしっかりと握っていた。マリーの身体はトーマス王子にすっぽりと後ろから包まれており、マリーは自分の背中でトーマス王子の逞しい胸板を感じていた。マリーの鼓動がさらに早くなり、頭の中は釣りどころではなくなってしまっていた。

「いいですよ。そのまま一気に引き上げましょう。」

トーマス王子はグイっと力強く釣り竿を引き上げた。

ビチッビチッ

大きな魚が草の上に投げ出された。

トーマス王子は魚を拾うと、水が入った木のバケツにそっと入れた。

「大物が釣れましたね。」

と、マリーに言うと、

「え?・・・ええ。」

と、マリーは慌てて返事をした。

マリーのドキドキはなかなか収まらなかった。

トーマス王子は釣り竿を片付けながら、

「焼き魚と煮魚、どっちにしましょうか。マリーさんは焼き魚より、煮魚の方が好きですよね?」

「え?あ、は、はい。でもどちらでも。トーマスさんのお料理はどれも美味しいですから。」

と、マリーは速まる鼓動にドギマギしながら答えた。

「ありがとうございます。」

とトーマス王子が言うと、マリーはぎこちなく微笑んだ。
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