若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
「マリーさん?」

釣り竿が不自然に散らばっている。
木のバケツを持ってきたトーマス王子が辺り一帯を見まわしたが、
マリーの姿がない。嫌な予感がした。
トーマス王子は、湖の水面にわずかに上がってきた水泡に気がついた。

まさか・・・?!

バシャン!

トーマス王子はすぐに湖に飛び込んだ。

すると、湖の底にいるマリーを見つけた。

トーマス王子は急いでマリーを岸へと引き上げた。

「マリーさん!マリーさん!」

と、トーマス王子はマリーの肩を抱き、必死に声をかけた。

「ゴホゴホッ!」

マリーが反応した。

トーマス王子は、

「マリーさん、辛いけど少し我慢してくだいね。」

と声をかけてから、マリーのみぞおちの辺りを、ぐっと握りこぶしで押した。

すると、マリーは、

「ガハッゴホゴホッ!」

と、大量の水を吐き出した。

「マリーさん、私が分かりますか?」

と、トーマス王子が聞くと、マリーはゆっくりと頷いた。
トーマス王子は、ホッとした表情を浮かべると、

「よかった。急いで手当を。事情は後で聞きます。ひとまず家に帰りましょう。家に着くまで少しの間我慢してください。」

と、言うと、トーマス王子はそのまま軽々とマリーを抱きあげると、横抱きにしたまま、歩き出した。

マリーはとても驚き、恥ずかしさで赤面した。男性にこんなことをされたことがなかったからだ。
マリーの身体に触れているトーマスの王子の腕や胸はとても逞しく、安心感があった。

『我慢だなんて・・・。そんなことないのに。』

と、思ったが、ひどく体力を消耗していて、思ったように声も出せず、自分で歩ける状態ではなかったので、そのままトーマス王子の腕の中に自分の身体を預けた。



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