若い身空で老人と結婚することになりましたが実は呪いをかけられた王子様でした
ベリーナ王国城の門前


トーマス王子は、両手でマリーの手を握りながら、

「いきなり、こんな事になってしまって申し訳ない。」

と、マリーに言った。

「いえ、ルーシー看護師も一緒なので大丈夫です。」

と、マリーは答えた。

「週に一度は会いに来るつもりです。もしウッドベリーに帰りたくなったら、いつでもすぐにでも迎えに来ます。」

と、トーマス王子が真剣な眼差しで言うと、マリーは笑いながら、

「3ヶ月だけなので大丈夫です。親子の時間を楽しみます。」

と、答えた。

「充実した時間になることを祈る。」

と、トーマス王子はそう言ってから、マリーの頬にそっとキスをした。マリーは驚きつつも、

「お気をつけて。」

と、言って手を振り、トーマス王子を見送った。トーマス王子の乗っている馬車が見えなくなるまで、マリーはその場を動かなかった。

マリーの後ろにいたルーシー看護師がマリーに声をかけた。

「お寂しいですか?」

という質問に、マリーは、

「寂しいけれど、たった3ヶ月の辛抱ですから。」

と、笑顔で答えた。

素直に答えるマリーに、ルーシー看護師は、優しく微笑んだ。
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