Love Sweet December甘い甘い12月の恋
「みぃ~」


一人で靴を履き替えてると
息を切らして走ってくる裕也の姿が目に入った。



やっぱり──


人で溢れかえる玄関で話しかけられるのは
結構複雑……

拓斗の耳に入ったら嫌だな……


なんて考えてしまっていた。



「裕也おはよう!!」


「おはよう!!
どうしたの?キョロキョロして……」


「いや……誰かに見られてたら恥ずかしいから」


「どうせ『兄貴に見られたらどうしよう』とか考えてたんでしょ?」


「えっ──」


「なんでもねぇよ……」


裕也はバツが悪そうな顔をして
私に背を向ける。


「ゴメン…」


「ばーか!怒ってねぇし!
昨日の今日で、兄貴の事忘れられるわけねぇんだから!!
つーか今日、みぃは放課後は暇?」


「うん……今日はバイトもないし」


「よし!!じゃぁ、今日の放課後デートしような!」


「うん……」


「放課後電話するから~!!」


そう、言い残すと裕也はブンブンと手を振って
走っていってしまった。


放課後か……
私のほうが年上なのに、裕也にリードされっぱなしで
なんかかっこ悪いな。


しっかりしなきゃ…


ぼーっとしながら
教室に向かうと
私の視界にさくらが飛び込んできた。

嫌だ……まだ、さくらの顔──
見たくない…


さくらは全然悪くないけれど…
でもやっぱり──なんか嫌だな。
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