しづき


容赦のない二重の甘さにおかしくなりそうだった。



こんなの、拷問。



他人の温度を知らない敏感な素肌を、涙が出るほど愛された。



「好き、愛してる。あいつの記憶なんかぼくが殺すから。こうして触って、直に、愛を塗り込んで」



降ってくるのは砂糖みたいな言葉。



…ううん、白の言葉は呪い。



優しさと狂気で私の逃げ道を無くしてくる、恐ろしいもの。





「ぼくでぜんぶを埋め尽くしてあげる」





いつか、リングがこの薬指に通される時



私はどうなっているんだろう。





頭の片隅でそんなことを考えながら、止むことのない甘美な拷問にひたすら悶え続けた。




< 120 / 312 >

この作品をシェア

pagetop