しづき


重たいほどの愛を注がれる生活が日常化してきて、精神もだいぶ落ち着いてきた。



そんな毎日に、ある変化が起きた。




──白が起きてこない。



いつもなら、朝起きれば美味しそうな匂いがするんだけど…



今日はなんの匂いもしなかった。



いまだに白の料理を口にできず市販のものばかり食べている私。



そんな私をどうにかしたいと、毎朝甲斐甲斐しく早起きしてはご飯を作っている白だけど。



─なにも、ない。



匂いだけじゃない。物音すらしなかった。



「…白、どうしたんだろう?」



寝坊?それとも出かけてる?



頭の中に、ありとあらゆる考えを出してみたけど、なぜかどれにも違和感をかんじる。



人が生活している気配がしないのだ。



ザワザワと



ここに来ていちばんの胸騒ぎがした。


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