しづき
そして、ギシッとスプリングの音とともに、ベッドをおりた男がこちらに歩いてくる。
もう逃げる気力も無かった。
「泣いてんの?」
高い背を折り曲げてのぞきこんでくる男。
視線が交わった時、目からポロリと一粒の涙がこぼれてしまった。
あ…と漏れた私の声とほぼ同時
「ご、ごめん」
慌てたように人さし指が伸びてきて、涙をすくいあげられた。
え?
予想外の挙動に、私は目をまたたく。
そのせいでまた涙が二粒三粒こぼれてしまった。