しづき


「うーんだめだ。わかんない」


「えぇ…」


「汐月がテキトーに付けていいよ、名前」




おそろしいほど綺麗な丸投げ。

テキトーのお手本のような態度に、私は唖然とするほかなかった。




「わー楽しみ。汐月から名前をもらえるなんて」


「や、そういうものは自分でよく考えるべきじゃ…」


「やだ。汐月からがいい。そしたら紛れもなくぼくと汐月との絆ができあがるね」




嬉々として頬を緩める男。なんてきもちわるい。


私からすれば、誘拐犯との絆なんて冗談じゃないけど。



ここからずっと平行線に話が進んでいても意味がないと先に折れた私は
ちら、ちら、となにかしら名付けの材料になりそうなものを部屋から探した。


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