【コミカライズ】Rain or Shine〜義弟だから諦めたのに、どうしたってあなたを愛してしまう〜
 恵介は窓の外できちんと靴を脱いでおり、瑞穂のそばに立ったまま部屋の中を見回した。

「ふーん……まぁ普通の家じゃん」
「ど……どうして恵介がここにいるの?」
「ん? 仕事のついで。母さんが瑞穂の様子を見てきてくれって。もう十年だよ。そりゃ母さんだって心配するよ」
「そ、そうよね……ごめんなさい……。あの、そうじゃなくて……家の場所なんて……」
「あのね、住所がわかればアプリで空からだって見られる時代だよ。年賀状に書いてあっただろ?」
「……年賀状……」

 家族宛に毎年送っていたものだったが、名古屋と東京だし、まさか誰かが来るとは思わなかった。

「結婚の挨拶だって俺がいない日を選ぶし、式はやらなかったし。義理のお兄さんに会ったのって結納の日の一度きりだよ。おかしな話じゃないか?」
「そ、そうよね……ごめんなさい……」

 瑞穂は両手で体を抱きしめて俯いた。恵介の顔を見ないように……見透かされてしまわないように、ぎゅっと目を瞑る。

「瑞穂? 具合でも悪いの?」

 恵介が瑞穂の肩に触れた瞬間、彼女は体を大きく震わせ後ずさる。表情は恐怖に怯え、眉間に皺ん寄せながらもなんとか笑顔を作ろうとする。

「い、いきなりだからびっくりしちゃった……。急に触らないでくれる……?」

 恵介は口を閉ざし、瑞穂の様子を窺っていた。どうしよう……あの瞳が怖いの……。

 慌てて恵介に背を向けると、キッチンへと逃げ込んだ。
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