エリート警察官の溺愛は甘く切ない
「全く。」

そう言って笑った圭也さんの笑顔が、お日様みたいに暖かった。


入り口でチケットを貰い、私達は常設展示から見て回った。

その間、圭也さんは絵ばかりを見て、しゃべりもしなかった。

大人しい人なのかなって思った。


「いやあ、楽しかったですね。」

圭也さんが言葉を発したのは、もう展示を見終わってからだった。

結局、有名な名前の画家さんは出てこず、誰の絵だか知らない物をずっと見て終わった。

それなのに、楽しいと?

その時だった。

私の背中に、誰かがぶつかった。

「おっと、危ない。」

倒れようとする私を、圭也さんが支えてくれた。

「ありがとうございます。」

お礼を言うと、圭也さんは手を握ってくれた。


「紗良さん。」

「はい。」

顔を上げると、圭也さんの真剣な表情が、そこにあった。

「僕はあまりしゃべらず、つまらない男だと思いますが。あなたを守る事はできます。」

その言葉に、何故かキュンとしてしまった。
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