エリート警察官の溺愛は甘く切ない
「そうだよ。今日、病院行って来て、間違いないでしょうって。」

『やった……やったあ!』

電話の奥で、圭也さんが声を上げている。

よかった。


「男の子がいいんだよね。」

『ああ、跡継ぎの件?いいよ、元気で産まれてくれればどちらでも。』

「あれ?跡継ぎが欲しくて、お見合いしたんじゃなかった?」

こんな皮肉を言えるのも、幸せだからだ。

『最初はそうだけど、紗良を見たら、そんな考え吹き飛んだよ。』

「じゃあ、何でそんな事言ったの?」

『そう言わないと、結婚してくれないと思ったから。』


幸せって、やってくるものじゃなくて、内側からじんわり感じるものなんだね。

この歳になって、ようやく分かった。

「家族にも、言っておくね。」

『ああ、俺も両親に、報告しておくよ。』

きっと圭也さんの両親も、喜ぶだろうなぁ。

私はこの時、幸せの絶頂にあった。


数日後。

我が家に、圭也さんのお母さんが、訪ねて来た。
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