エリート警察官の溺愛は甘く切ない
切迫流産。

私の赤ちゃんは、どうやら女の子だったみたい。

お義母さんの言葉を聞いて、悲しくなって、産まれてくることを辞退したのだろう。


あんなに嬉しかったのに。

今は、こんなにも悲しい。


「紗良。今回は残念だったけど、直ぐにまたできるよ。」

圭也さんは、私の手を握ってくれたけれど、私は納得できない。

「圭也さん、お腹の中にいた赤ちゃんと、これからやってくる赤ちゃんは、違うのよ。」

「あっ……」

「あまりにもお義母さんが、男の子男の子って言うから。」

怒りをどこにぶつけたらいいのか、分からなかった。


もちろん、お義母さんのせいで、流産した訳じゃない。

でも、そう思うしか、私の悲しみは癒えなかった。


「しばらく、お義母さんに会えないって言って。」

「もちろんだよ。」

今はただ、圭也さんの温もりが、じーんと胸を覆っている。


しばらくして、私達は退院して家に帰る事になった。

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