心はあなたを探してた
アパートに着くと近くのコインパーキングで待っていると言われたので、急いで部屋に入りシャワーを浴びた。

やっとスッキリした気分になり、何を着て行こうか悩む。

「動きやすい方がいいみたいだったから恭輔さんみたいな感じでいいのかな。」

たいして服が入っていないクローゼットからブルーグレーのパーカーとデニムパンツを引っ張り出した。

動いて汗をかいた時の用心に念のため化粧品と着替えのワンピースと下着を入れたリュックを持ち、ポシェットに貴重品を通勤用のトートバッグから移し替える。

ダッシュで支度したけど30分以上待たせてしまったので、慌ててコインパーキングに向かうと恭輔さんは、窓を開けた運転席でシートを少し倒して文庫本を読んでいた。

「お待たせしました。」

私が声をかけるとにっこりと笑い、助手席のドアを開けてくれる。

「本を読んでいたから、そんなに待っていた気がしない。」

優しく笑う恭輔さんに心がコトリと音を立てたような気がしてならなかった。

< 28 / 63 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop