心はあなたを探してた
駅ビルで土曜日の服を探していると後ろから声をかけられた。

「里帆ちゃん、お買い物?」

「内田さん、お疲れ様です。私は週末出かけるので服を買いに来たんです。」

「さてはデートね。」

「えぇ、まぁ…内田さんは?」

「彼との待ち合わせまでの時間潰し。」

「火曜日にデートですか?」

「向こうが水曜日休みのディーラーに勤めているのよ。車が欲しくなったら、声をかけてね。安くさせるから。」

「じゃあ、その時になったらお願いしますね。」

「どこへ行くの?土曜日。」

「水族館の予定なんですけど?」

「それなら、あれは?」

 内田さんが指を指したのは、オフショルダーの黒いブラウスにグレンチェックのフレアミニスカートを着たマネキンだった。

「かわいいですけど、私はこういうの着たことないです。」

 香織ちゃん達と研修期間に買った通勤服以外は、パーカーやパンツや楽なダボっとしたワンピースくらいしか服がないから、似合うとか以前に私ごときが着ていいのかと思う。

「絶対似合うから。私の目を信じなさい。彼氏が喜ぶわよ。」

 私は内田さんに相手が誰だかは伏せて恋愛相談してみようと決心した。
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