パパの浮気現場
変装
 そして、三日後。昼過ぎ、春休みなのに部活のフリして制服を来て家を出た。
 パパと不倫しているという女子大生のことが頭を離れない。あのパパが付き合うくらいだ。さぞかし綺麗でスタイルも良くて……。
 パパと腕を組む女子大生の姿がチラチラと脳裏をよぎる。だけど、想像の女子大生はシルエットでしかなく、明確な像は結ばない。
 イメージなんて沸くわけがない。三日前までは、パパが不倫なんて考えたこともなかった。

 本屋に行っても落ち着かない。一人だからウィンドウショッピングも楽しくない。
 と言うか、何をしていてもパパと女子大生のことが頭の片隅から消えなくて、最後はA駅のマックで味のしないポテトとジュースで時間つぶし。

 気がつくと午後四時半。
 いても立ってもいられなくて早めに店を出た私はA駅の北口に立っていた。

「しまった! 私、制服だ」

 今更ながら、自分の服装に思い至る。私が通う私立女子校のブレザーは、この辺りではあまり見かけない。と言うか、春休みだから制服着てる女子高生が絶対的に少なかった。
 もし、パパが私に気付いてしまったら決定的な場を押さえられない。
 いや、誤解だと信じてる。信じてるけど……。
 そうだ。ブレザーを脱ごう! それから、制服のリボンを取ったら、ちょっとイメージ変わるよね? 後、めがね! そうだ、めがね。どっかに百均ないかな!?

「あった!」


   ◇   ◇   ◇


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