婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 彼女には悪いことをしてしまった。向こうについたら謝らなくてはならない。
 ようやく屋敷に着くと、両親が少し疲れ切った顔をして迎えてくれた。どうやらサルジュを迎えるために、昼過ぎからずっと待機していたようだ。今はもう夕方である。
 疲労を隠しきれないまま挨拶をする父に、さすがに少しだけ申し訳なく思う。
 マリーエにもきちんと待たせてしまったことを謝罪する。先に訪れていた従弟とカイドの妹のミィーナにも挨拶した。
 その夜は歓迎の夕食会が開かれた。
 レニア領は農地が多いため、食材は豊富である。王都にはないものもあるので、サルジュは興味をそそられたようだ。
 王城で出されるものとは比べ物にならないほど素朴なものばかりだが、楽しんでもらえたようでほっとする。
 滞在中にサルジュには屋敷の中で一番広い部屋が用意されていた。
 だが、彼はほとんど応接間にいる。
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