婚約者が浮気相手と駆け落ちしました。色々とありましたが幸せなので、今さら戻りたいと言われても困ります。
 そんな彼に裏切られ、絶望して何度も泣いた。信じられる人なんて誰もいないと思っていた。
 でも、今の自分はこんなにも幸せだ。
「アメリア」
 迎えにきてくれたサルジュが、手を差し伸べている。
 その手を握りながら、アメリアは微笑む。
 サルジュにエスコートされて会場に入ると、たくさんの人達が迎えてくれた。中には友好的ではない視線もあった。でもこの白いドレスが、サルジュの愛がアメリアを守ってくれる。
 ふたりの婚約を祝う国王陛下の堂々とした声が、会場内に響き渡る。
 アレクシスやユリウスに似た精悍な顔立ちに、サルジュと同じ金色の髪。その隣にいる王妃陛下は、サルジュとそっくりだ。
 ふたりとも、いくら功績があっても地方貴族の娘でしかないアメリアとの婚約を歓迎してくれた。
 その恩に報いるためにも、これからもサルジュの助手として、婚約者として彼を支えていくつもりだ。
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